1.マーケット・環境分析力

エリア担当のケース                                             私が経験して参りました営業はエリア担当制のケースが多かったので転職、または異動した際には必ずマーケットのローデータを眺めることから始めていました。統括部門が予め用意していることもありましたが、組織のき規模やマネジメント体制によっては自身で準備しなければならない場合もありました。マーケット・顧客情報が手に入ると、担当地域の全体、自社、競合の(売上、存在社数、決裁社数、取引社数、販売回数)みて「なぜその地域の売上が大きいのか小さいのか」「なぜ競合に勝っているのか、負けているのか」等を解明していきます。現代ではDXが進みデジタル化されている企業も少なくないと思いますが、こうしたデータは、会社規模が大きければ大きいほど良いデータをもっているので営業マン個人が収集したり分析する必要性は低くなりますが、情報資源面に予算を投入できない企業に所属している場合、営業ご自身でやらなくてはならなくなると思います。では、データがなければできないのかといえば、できないことはありませんが、ゴールが見えにくい、戦略がたてにくい、また、戦略戦術が的を射ているかはわからない、評価は曖昧になりやすい、気合の営業など非科学的行動を求められる可能性も否めません。

 例えば、Aという地域の売上は、自社の売り上げ、販売回数では圧倒的に優位でありますが、取引社数では負けているとしますと、この地域は特定の自社顧客の販売回数が多かったということが分かります。課題は、1社で大きな売り上げを上げているわけですので、もし、取引が縮小またはストップすると売上管理上は厳しくなりますので、課題は新たな顧客を開拓しなければならないということになります。

戦略戦術への起点                                             このような事例をみても、個人の営業戦略としては、大きな既存取引顧客を更に大きくしていくのか、または取引額は小さくても競合からのリプレイスして取引顧客を増やす方向にいくのか、など「拡大か縮小か」「攻撃か維持か」セグメントしていきます。時間は限られ、体は一つなので、無駄無理のない動きが必要になります。その場合、極端な戦略ですが、一定期間、この地域の新規顧客開拓を捨てて、現在の大口取引先の実績やリレーションづくり、課題提起解決策の提案に集中するなどの戦略・戦術の集中と選択をするという判断になることもあるでしょう。

組織戦略に活かす:                                           ここまでエリア担当をする個人の営業業績の向上のために書いてきましたが、分析に伴いマネジメントをなさる方が、地域ごとに立てた方針に合うような営業マンを配置するなど人材資源を有効に使うためタレントマネジメントのようなフォーメーションを組むという方略にもつながっていくでしょう。

業界・商品担当のケース                                         続いて、エリアをもたない環境マーケット分析についてです。私個人でも、業界に特化した市場開発グループのマネジメント・営業や商品に特化した組織をマネジメントしたことがあります。その場合は、業界や顧客に基づいた戦略戦術が必要となっていきます。競合との取引回数や利用商品に関するシェアなどに関する戦略や、未取引顧客のピンポイント攻略などエリアを担当する営業とはまた違った集中と選択が必要になってきます。営業初心者の方はこうしたご自身が担当する環境を把握、分析、それに基づいた戦略戦術を考えていくことが肝要ということになります。

昨今はデジタル化が進み、会社側がお膳立てをしているケースも少なくありませんが、本質的なマーケットの考え方を知っておき実践のご経験を積んでおけば、商品やエリアなどが変わる、マネジメント及び経営をなさる立場になった時にお役にたてるのではないかと存じます。もっと詳細について知りたい相談したいという場合はHPの相談窓口からお問い合わせ、またはお申込みくださいませ。お待ちしております。

次の情報活用力は、今回のマーケット分析を活用した戦略戦術立案力です。参考になれば幸いです。

根本 豊