プレゼンテーション3(ノンバーバルコミュニケーション力)
営業や販売は講師とは違いますが、伝える作業においては、限りなく近い面もあります。昨今の研修講師は一方的に話す形式ではなく、講義の中で受講者と対話をしたり、ワークを利用したファシリテーションをすることが主流となっています。これは、目の前にいる相手(複数含め)に伝えたい事を理解していただくためですが、そういう意味では、研修講師・営業・販売に共通しています。そこで、営業販売にも共通するファクターについて書いていきたいと思います。
3.1相手によって変える、合わせたコミュニケーション(ミラーリング)
講師は1.表情、2.声(大小や抑揚など)3.立ち姿からスタートといわれました。講師にとっては朝起きて歯磨きするのと同じくらいに当たり前にできるようにと・・・・・。とは言っても声が大きければ良いというわけではありません。研修会場では天井が低いのか高いのか、マイクの有無、受講者の男女の比率によって声の大きさを変えます。これは学校の教員が共学、男子校女子高によって声の大きさや話し方を変えるという先生と目的は似ています。つまり、自分の声の大きさ、言葉、表現、例え話を相手によって変えるということです。
実は、このように相手に合わせた対応はプレゼンだけでなく、電話のアプローチや初対面の商談などにおいても同様で、相手の声の大きさや話すスピードによって変えるということは重要であり、特別なことではありません。意識して行動することによって相手が受け入れやすくなります。
これは心理学でいうミラーリングという効果で、自分と似た動作・同じ話し方・スピード・声の大きさ・表情・姿勢が似ていたり、相手の言葉を繰り返すことによって脳が勝手に錯覚し、自分に似ている、近い人と受け取ってくれるのです。
3.2見た目は大事(メラビアンの法則)
前述の通り、表情や姿勢を相手に会わせることが大切であることを述べましたが、関連して見た目が相手に与える印象を変えるといわれている法則があります。人と人がコミュニケーションを図る際、「視覚情報55%」「聴覚情報38%」「言語情報7%」という割合で影響を与えていることを示したメラビアンの法則があります。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの名前をとってネーミングされており、別名「3Vの法則」※3V=(ヴィジュアル、ヴォーカル、ヴァーバル)や「7-38-55ルール」などとも呼ばれています。ただし、視覚と言葉が矛盾している場合に視覚のほうが優先されるという研究結果であり無条件ということではありません。例えば、俳優の竹中直人は笑いながら(視覚)「馬鹿野郎」(言葉)と言うネタがありますが、笑っている顔の資格情報を優先し怒っていっているわけではないと認識するという例を挙げれば理解がはやい方もいらっしゃるかもしれません。従いまして、表情は無論ですがスライドのつくりなどもプレゼンの伝えるという作業には資格情報は重要なファクターになります。
3.3見た目が大事その2
結論から申せば、着用するものスーツ、ネクタイなどの色によるイメージの作り方です。アメリカのケネディとニクソンの大統領選挙のTV討論は有名な話ですよね。当時は、テレビが白黒ながらもケネディが好感を持たれ当選に影響を及ぼし大統領に当選したといわれています。しかしながら、この内容ではラジオでも同時に流れており、ラジオを聞いていたリスナーの多くはニクソンに投票したそうです。つまり、ビジュアルを見ずに言葉だけ聞いたラジオのリスナーは政策を聞いてニクソン、TVの視聴者の多くは政策よりもさわやかな話し方などに影響された大勢が投票したという結果です。こうしたイメージを作り上げる戦略は現代の日本の議員選挙のポスターにも活用され、色彩心理学をベースにしたイメージコンサルタントという職業まで創出しました。実は私も営業マン時代はご多分に漏れず、バブル崩壊以降は、紺色系のスーツに赤系のネクタイを選択していました。
3.4好感音について
ミラーリングの中で相手に声の大きさやトーンをあわせるという話を申し上げました。しかしながら返事のトーンまで同じということではありません。例えば相手の返事のトーンが音階のドの音であったり、シの音である場合どうでしょうか。想像してみてください。ドの音で返事しあっているおじさん。ガラが悪い人同士の掛け声のようではないでしょうか。
もう一方の「シの音」ではどうでしょう。「シ」のような高音で「はい」「はい」と返事しあって、経済界で許されるのは「ミッキーマウス」と「ふなっしー」くらいなものでしょう。では、どうしたら良いのか。結論を申し上げれば「ソ」の音で返事をすることを心掛けることです。このソが好感をもたれる音階といわれ、好感音といわれております。このように言葉だけでない面で相手に伝える、理解していただく無形のプレゼンのための環境づくりも重要なファクターであるといえます。
因みに、プレゼンの販売技能の話とは違いますが、営業が何度も通って契約をとったなどの美談が昭和の世界にはありましたが、これは単純接触の原理といって、何度も合うちに好感を抱くということが言われています。しかしながら、これには条件があります。「第一条件が良いこと」です。第一印象がよくないのに何度もいけば「しつこいよ」といわれるのは心理学を持ち出すまでもなく必然なのかもしれませんね。
念のため付け加えますが、先に紹介した対人スキルの研修内容にもあるのですが、人間関係の構築、提案の受け入れ、合意を得るそれぞれ、4つのタイプにより受け入れやすい対応方法がありますのでソーシャルスタイル理論をご理解いただくと更にプレゼンテーションがうまくいくと思います。
次はクロージング力です。