2.アプローチ力(仮説想定を活かす行動方法)
アプローチ力は、前述の仮説力・想定力に密接に関係しています。アプローチとはお客様と商談のテーブルに至るまでの段階のことですが、アプローチ力が商談まで無条件に繋いでくれるわけではありません。アプローチ力が車だとすると仮説力はその運転手(中身)と考えると理解しやすいかもしれません。即ち、立てた仮説をどのような行動によってお客様に接触し、興味関心を抱かせる・有用感をもっていただくなど商談につなげていく行動がアプローチの成果です。では、その手法についてご紹介していきます。
アプローチ手法1 電話
営業の世界では、今昔問わず電話をよく使用します。 例えば、数多く接触してお客様の見込みを見極めることを主な目的とすることから電話でリストをクリーニングするかのようなので「テレクリ」と呼ぶ行為であったり、電話でアポイントをとることを主な目的としているので「テレアポ」などと呼ぶ行為があります。 具体的にテレアポは電話をした際、キーマンに仮説の概要を伝え、有用性をご理解いただきアポイントをとる。無論そこまで展開できず、担当挨拶など先方には興味の薄い要件になってしまうこともあります。(トーク例いろいろ考えられます)また、企業にとって営業電話は、ウンザリするほと来ている場合もあるので「けんもほろろ」になることもあり、社名を告げた途端に切られるなど、所謂「ガチャ切り」は、メンタル力を著しく低下させるため、電話からクロージングまで一気通貫で取り組む営業方法をとらない組織も出てきています。
例えば、電話を掛ける営業プロセスだけ、トークフローをつくり訓練された派遣社員にアポイント取りまでの業務を請け負ってもらう。その後のヒアリング・提案・クロージングは社員が行うなど、野球で例えるならば、先発は外部、中継ぎ・クローザーは社内という、営業プロセスの分業を行う会社も多くなってきています。
アプローチ手法2 SNS
現代では、SNS広告のアプローチが主流になっています。スピード、コスト、マネジメント、営業育成等あらゆる面からみても効率がよいという評価からです。なかでも代表的なのはFacebookの広告があげられます。Facebookをご活用の方であれば、一度はご覧になったことがあると思います。タイムラインに出てくる広告のことです。よく謳い文句に『新しい〇〇の仕方』『売れる営業はこれしかやらない』『こんな面接官はいやだ』『あなたの会社はハラスメント防止法施行にむけて大丈夫?』など企業の関係者がみると興味関心、懸念材料を喚起し、無料資料請求やセミナー参加を促します。私もこの類は、かなりDL(ダウンロード以下DL)しましたが、ある程度の業界・社会経験のある方でしたら、多少新しい情報が入っている場合もありますが、ほとんど周知の内容が多かったと記憶しています。なぜならば、広告を出稿する企業は無料セミナーや資料の精緻な実質的効果よりも、ユーザーがDL時に登録するメールアドレス・社名や担当者名の入手、ニーズを把握することが大きな目的だからです。更にセミナーや商品に興味をもったということは、見込み客になるの可能性が高いので、飛び込み営業やテレクリなどの薄い電話アプローチより、はるかに効率的ということになります。
しかし、自動的に受注を頂けるわけではなく、資料請求されっぱなしでは意味がありません。弊社でも興味のあるものを順にDLしていますが、実際に電話でアプローチをしてくる営業は、ほとんどいません。他社にも同様だとすれば、勿体ない話です。最近のことですが「1カ月前にDLされた資料についてお電話しました」などとアプローチしてきた営業がいましたが、正直、社名とダウンロードした内容は一致せず、覚えていませんでした。このように、無料の資料提供、セミナー参加してから電話アプロ―チまでの期間があきすぎてしまうとビジネスチャンスを逸してしまい、最新のアプローチ方法も猫に小判です。 従って、いくら効率的手法と言えても、棚から牡丹餅で受注できるわけではありません。メルマガに登録し定期的なメールアプローチをする、DLされてから1週間以内には電話でアプローチするなど対人営業でやらなければならないことが、やらなくていいわけではありませんので、デジタルとアナログのハイブリッドでアプローチしていく必要があります。
アプローチ手法3 HPの問い合わせへDM
こちらも最近では多く、弊社への営業は、HP問い合わせ営業が一番多いようです。内容としては仮説・想定力のパートで触れた、世の中の大きな変化・対応が必要な場合(法律や時事)や新規顧客開拓などの営利組織には普遍的なニーズに対しての仮説アプローチです。 弊社で多いのは、新規顧客獲得の成功報酬(新規顧客を増やす)の仮説・アプローチです。正直、興味がないわけではないのですが、弊社にも戦略戦術には優先順位があるので、すぐには必要ありません。 しかしながら、弊社のような状況の会社があるとすれば、一度アプローチすることによって、次に「いつ営業すれば良いのか」営業タイミングをはかることができます。または、リレーションをとっておいて他のニーズを拾うこともできるかもしれません。しかし、ほとんどの業者さんは、そこをやりません。手前みそで恐縮ですが、小生、リクルート営業マン時代は20回以上表彰していただいた「営業経験者」としてはなんとも勿体ないと感じるばかりです。従いまして、SNS同様に、売り上げを向上させるためには、デジタルとアナログのハイブリッドでアプローチしていく必要があります。
アプローチ手法4 DM・FAX
デジタル時代ではDMといえばダイレクトメッセージですが、アナログ時代のDMはダイレクトメール(郵送はがき等)でした。現在では個人営業には郵送や投げ込みなどをすることはありますが、法人営業では、ほとんどありません。関連して、FAX販促という方法もありましたが、昨今FAXはビジネスであまり使われていないことに加え、営業のために無許可でFAXをお送りすることは、お客様の資産を勝手に使用しているという問題もあるので、やめておいたほうが良いでしょう。他ポスティングなどの手法がありますが、ほとんどの場合は業者に依頼することが多いのですが、業者の中には、配るべきものを捨てていたなどの事故もあったのでポスティング業者選択の際の業者の精査は非常に重要です。
アプローチ手法5 飛び込み訪問
地方の個人営業では、まだ通用しているケースもあるようですが、都市部の法人営業のアプローチとしては非効率と言われても仕方がない方法なってしまっています。仮説力の中で販売技能の歴史について触れましたが、モノが不足し、経済が成長している世の中でニーズが溢れているような状況であれば、時間を無駄にせず売上に繋げる有効な方法として挙げられましたが、ニーズが多種多様化、効率的な新しい手法が台頭してきた現在では、積極的に飛び込み営業を方法として採用する企業は少なくなっていますし、指導をできる人材、遂行できる人材も少なくなっています。
余談ですが、数年前、社員に飛び込み営業をさせようという企業があり、指導できる人がいないため、コンサルティングに入らせていただいたことがあります。普及率の高い商品の改善提案営業という簡単な営業でしたが、一人で営業できる人材がいない会社でしたので、2人から3人のチームで営業するという方法で、同行しながら個人宅を回ったことがあります。一時的な組織という状況でのご要望であったためコンサルを実施し、成果も上がりましたが非常にまれな例と言えます。
※因みに、予備情報ですが、
個人宅を営業すると郵便ポスト、表札、ガスメーター、電気メーター、インターホン、玄関ドアなどに謎の記号に置き換え再訪問した時にわかるようにしていることがあるのでこれをお読みになってから、営業上の参考にもなりえますが、ご自身の家周りにこうした記号がないかご確認されるといいかもしれません。訪問販売同士が共有している記号だけなら良いのですが、窃盗犯罪者も利用しているとのことですのでお気を付けくださいませ。
記号例:SW20、8-18Rは、 20代女性1人暮らし、8時~18時まで留守
30F4SS 30代家族4人暮らし、土日が休み などです
記号についてご興味のある方はこの内容は、五光警備保障様から引用させていただいておりますので以下ご参照ください。 2022年4月3日参照 URL: https://www.gokou-guard.co.jp/blog/445.html
アプローチ手法6 紹介
景気の良し悪し、アナログ・デジタル関係なく不変的に使われている方法です。人間が営業活動をする限り未来永劫続く手法の一つでしょう。とあるプルデンシャルの営業マンは、紹介営業で自分の加入させた顧客管理の会社を7社つくり、現在では保険営業は引退。富裕層を相手にしたビジネスだけに集中し悠々自適にセカンドライフを楽しんでいます。ただし、いつでもだれでも紹介をお願いすれば良いというわけではありません。(下手な鉄砲数打てば当たるも否定はしませんが)紹介をお願いするタイミングが肝要です。例えば、顧客の取引満足度が高かった時、紹介する相手にもメリットがある時、良好な人間関係が構築されたと認識できる時、会社同士の信頼関係ができている時などが有効ですので、チャンス到来した際にはしっかりとお願いをするとよいでしょう。(細かいやり方はここでは触れません)参考まで
次は、対人対応スキルです。アプローチで接触した時に、自分いとって得意なタイプとは?苦手なタイプとは?・・・・解決方法のソーシャルスタイル理論の概要のご案内です。