ヒアリング2 (潜在ニーズ)
顕在ニーズのヒアリングに続き、潜在ニーズのヒアリングについて解説していきたいと思います。
顕在的ニーズは、お客様が買いたいといっているご意向を把握、整理でき自社商品とマッチング、そして販売・契約に至るまで購入商品絞っていくことですが、そこから更に深堀し潜在的ニーズ(お客様でさえ気づかないニーズ、本来的、本質的ニーズ)をヒアリングすることによって更にオプションやグレードアップに繋げ、同時にお客様も高い満足感を得ていただくためのフェーズです。
聞き方としては、 1.顕在的ニーズがまとまってから、潜在的ニーズヒアリングに入っていくパターン 2.顕在的ニーズをヒアリングしながら潜在的ニーズをまとめていくパターンがあります。 どちらでも正しいと思いますが、商談時間は注意が必要です。こちらの聞きたい・話したい時間軸とではなく、お客様がどのくらいの時間であれば、疲れず集中力をもって話し決断できるのかを考えなければなりません。商品やその価格、個人なのか法人なのか、商談日がお客様にとって休みなのか、業務中なのかにもよりますが、ヒアリング1事例の車の販売のケースでいえば、お客様は個人で、土日来店の可能性多いことから、せいぜい1時間から1時間半だと思います。このように業界や扱い商品によっても様々ですが何れにしても2時間を超える商談は長すぎて、クロージングの段階で意味のない抵抗にあい、クローズできないなどの弊害が出てしまうことがあります。営業マンである皆さんも特に高額な商品や、買うつもりではなかったものを買うときに、ほしいと思っていながらも、何かマイナスがあるのではないかという気持ちになったことはありませんか?何時間も営業されていると判断力がなくなり、購入することに自己肯定できなくなってしまうことがあります。
さて、それではどんな方法、タイミングの時にヒアリングするかについて述べたいと思います。顕在ニーズヒアリングのパートで触れました6W3Hがありましたが、あの中の「なぜ?何を、どのように?」等、お客様ご自身が自由に話ができる拡大質問を使います。
例:旅行会社カウンター営業・・・お客様の顕在ニーズ=暖かいところが好きで、ハワイに一度いってはまり17回もいっている。いつも60万くらいだからちょっと価格が高いし現地の物価も高いけど、日本語は通じるし、マリンスポーツが好き(水)でジェットスキー、ダイビング、バナナボート、パラセイリング、シュノーケル、サメが怖いがシーカヤックもやったことがある。ホテルは超高級ではなくコンドミニアムでも良いがいつも旅行会社にまかせている。
こんなニーズのお客様が来店したら顕在ニーズはハワイしかないと思い込んでいるので、最初WHEREは飛ばして「いつ?予算は?何日間?誰と、何をしたいのか」これを取りまとめれば商談成立、他の旅行業者との差別化を図っていけば良いのですが、潜在ニーズはあまり商談を固め過ぎてしまうと覆らないので、旅行のアウトラインがだいたい決まった段階か、どこに?予算?などのヒアリングの段階に聞くなど、健在ニーズとりまとめの途中で潜在ニーズのヒアリングにはいっていく方法もあります。
ここで必ず聞いておきたいのは、ハワイが好きなのはわかりましたが、「不満はないのか」ということです。(営業の場面ならありたい・あるべき姿を聞く、現状とのギャップが課題と特定できます)加えて、あとで説明しますが、行く方々の共通の趣味やイニシアティブをもっている人の趣味、趣向を把握しておくと差別化のネタになることがあります。 この事例の場合は親切にお客様のほうから「ちょっと価格が高いし現地の物価も高い」「サメが怖い」と不満を教えていただいているので楽ですね。
このような状況であれば、 アウトラインが決まってからの潜在ニーズヒアリングの聞き方例は「だいたい見えてきましたね。ところで暖かいリゾートは他にどちらに行かれましたか?」「ハワイお好きなんですね。私も何回かいったことがあるのでわかりますが、ハワイでなければならない一番の理由は何ですか?」「南国旅行でもっとこうだったらいいのにというご要望などはありませんか」などです。
顕在ニーズをヒアリングしながらの聞き方例は、行先を聞いた時に「最初にハワイに決めた時はどういう理由だったのですか?」ハワイ好きの理由が聞けていなければ、すばり「そもそも、今回もハワイとお決めになってる理由は何ですか」などの聞き方があります。
この事例のお客様のご不満の場合、暖かくで鮫の危険のないところで、カヤックをはじめとしたウォータースポーツを数多く楽しみたいけど、旅費、現地物価が高いという不満があるということなので、この辺で詳細や抵抗の仮説(※プレゼンで解説します)は自分がカウンターから席を外した時に整理(営業であれば次回訪問プレゼンの時にする)するとして提案したい内容をいくつかイメージしておく必要があります。
例えば、もし、私だったら、インドネシアバリ島、北マリアナ諸島のパラオ、フィリピンのセブ島、を提案素材として用意します。その概要は ◆バリ島は飛行時間はハワイと同じですが、旅費がハワイよりホテルが良くても安いこと、現地物価が圧倒的に安いこと、マリンスポーツはハワイでできることが全て安くできることに加え、ハワイにはない川下りでカヤックよりもスリリングで鮫の心配のない体験ができる、現地は日本語を話せると貰える給料が高くなるという事情があり、皆必死で日本語を勉強しているので、スラム街や山奥などにいかなければ問題はありません。結果ハワイと同じことをしても20万ほど安くあげて同様またはそれ以上の満足が得られる
◆パラオはバリほど観光地化していないが、チャーター便になるけれど直行で飛行時間は半分でいける距離。戦時中、日本がインフラを整え、現地人との関係性も良好であったこともあり国旗を日本をリスペクトしたデザインになっていたり、ミドルネームに日本名がついていたりするほどの親日国なので日本語の心配、治安の面で安心できることの訴求。マリンスポーツはハワイと同様にできオプション料金も安い。尚且つ美容に良い白い泥塗のスポットもあることで他地域と差別化
他、趣味をヒアリングしカジノなど旅行ギャンブラーならフィリピンのセブ島(マリンスポーツは全て可能でカジノがあり物価も安い)映画好きであれば(実際今は閉鎖されてしまいましたが)レオナルド・ディカプリオ主演のザ・ビーチの舞台となったタイの秘島ピピ島のマヤ湾などをイメージしてプレゼンに臨みます。
求人広告でよくあった事例・・・営業マンがなかなか採用できないというニーズに、「そもそも何で営業が必要なのか」業務拡大に伴って営業マンの負担が大きくて➡具体的にどのような負担ですか➡受注するとそれに伴った書類や身内や業者への発注などがあるんだよ。
こうしたニーズに対して 営業「では、営業の仕事を分解して営業マンでなければできない仕事は、何曜日に、どのような仕事が、どのくらいあるのか見てみませんか?」 お客様「そんなことどうするの?」 営業「営業がやらなくても良い仕事は、コミュニケーション力及び確動性の高い事務を採用して、営業マンの書類作業を中心に営業数人分の担当させて書類作業の負担軽減し、営業でねければできない仕事の商談や新規獲得に集中させるのです」大雑把に申せば、このような流れで、営業の募集で困っている中小企業に提案。営業と事務の同時募集や営業事務の募集などを承っておりました。 結果、営業が採用できなくても営業がやっていた書類作成や業者への発注、遠隔サポートが可能になったことから営業のニーズがなくなったこともありましたが、新規獲得や顧客サービスが今までよりもできるようになったと好評でした。 また、営業の離職率低下やモチベーションアップのために評価制度の見直しに繋がったり、営業の仕事を更に細分化し電話営業部隊をつくるなど組織開発に繋がったこともありました。 今となっては営業事務は当たり前の職種となり、事務では一番ニーズのある職種となりましたが、はじめは、こうした潜在ニーズの取り込みから行った時代もありました。このようにそもそものニーズの本質をお客様と一緒に考え視点や角度を変えながら、お客様でさえ考えていなかったニーズを掘り起こすことによってお客様の課題を解決できることに繋げることができるのが潜在ニーズのヒアリングということになります。
続いてはプレゼンテーションの段階になります。企画提案力や抵抗の仮説力(仮説・想定力はアプローチだけではありません)などにも触れていきたいと思いますが、他の執筆の締切が迫っているので少し後になるかもしれませんがご了承いただければと思います。